喰霊-零-(GA-REI -zero-) > TOP> Special
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飛蘭(フェイラン)さんのインタビューを掲載いたしました!(10/11)⇒GO!
♦ 放送開始直前企画 スタッフ特別座談会 ♦

『喰霊-零-』では、劇中でリアルな情景を描写するため、数度にわたってロケハン取材が行われた。 ここでは某所で、2日間にわたって行われたロケハンの合間、宿泊所にて行われたスタッフ座談会の模様を特別に紹介。『喰霊-零-』がどのようなアニメかを知る手助けになるだろう。

参加者
監督:あおきえい
シリーズ構成:高山カツヒコ
キャラクターデザイン・総作画監督:堀内修
アニメーションプロデューサー:平松巨規(アスリード)
アニメーションプロデューサー:松嵜義之(AICスピリッツ)
(インタビュアー:桝谷直俊)
※敬称略
――原作を読んだときの印象は?
高山:ジャンルとしては陰陽師物、退魔物になるのでしょうか。それにいろんなネタをシャッフルしたカラーリングが、非常に面白い作品だなと思いました。和物と和物でないモノとのネタのザッピング具合が好きです。
松嵜:おしゃれと言っていいのかわからないけど、面白いですね。
高山:でもアニメを作るとき、方向性をどこに向ければいいだろうという答えを出すのが難しい作品だったんです。
あおき:そうですね。原作を読んだのはアニメ化の企画をもらってからになるんですが、その時点で原作コミックの分量が不足気味だったから、アニメではどうしようという話がありましたね。連載中の原作コミックに追いつかないように、原作の最初の話を丁寧にアニメ化してじっくり進めていっても、「今更古い話をアニメ化されても」と言われるんじゃないかと思われたんです。アニメがいかにも後追いしているという感じが出ちゃって、あまり面白くないんじゃないかという懸念がありました。
高山:僕らがアニメ化を初めても連載はまだまだ続きます。アニメでは原作よりも先に最終回が来て結末をつけないといけないけど、原作をトレースしながらアニメオリジナルの結末にすると、原作とかけ離れた感じになっちゃうんじゃないかと。あの頃はまだ原作がどの方向に進むかわからなかったため、アニメ放送開始時に連載中のマンガのイメージとの差が極端に激しくなってしまうのではないかという懸念もありました。
 それに原作と全く同じ話にすると「マンガのキャラがアニメになって動きました」以上の、付加価値も同時になくなっちゃう。+αの楽しみがあまり出なくなってしまうのはもったいないかなと。

――ではどのように、特戦四課が主役となる『喰霊-零-』の話が作られていったのでしょう?
高山:まずは原作のストーリーをそのまま描くのではなく、違う方向性の模索を始めたことがきっかけでした。
 そこで原作と同じ世界観の中で、原作に登場する環境省・超自然災害対策室と同じ宿命を背負って同じ任務をやっている別働隊を立ち上げるのはどうだろうかと。それで「特戦四課」という組織を防衛省内に作り、バトル色を強くしていこうということになったんです。もともと『喰霊』は世界観が面白いので、アニメで無理に先の話を作って物語を壊してしまう危険を冒すより、原作との距離間をむしろプラスにして、世界観の厚みをつけていこうということになりました。
あおき:防衛省で行こうという話になったのはいつからでしたっけ。
高山:どの段階でしたっけ。縦割り社会ですと国直属の機関でも、似たようなことをしている機関はいろんな組織にあったりするので、環境省とは別の話にするなら、防衛省で同じ任務に就いている別の部隊があってもいいんじゃないかと。世界観としては、原作と同じように魑魅魍魎が跋扈していて、それを退治する話にする。ただ特戦四課は、現用兵器と陰陽師の武器を合体させたような特殊なものを使いながら戦う。『喰霊』の世界観を維持したまま、別の物語を組んでいこうということですね。ですので特戦四課の武器も、 主に摩尼(マニ)車をベースに設定しています。
堀内:回転の力でやっているんですね(笑)。
高山:摩尼(マニ)車ってお経が書いてあって、1回まわすとお経を1回唱えるのと同じ効果があるというものなんですね。だから、回転するものにはとにかく真言、マントラを書いちゃえと。鉄砲の弾にも真言が書いてあって、それが摩尼車の効果で悪霊を倒すという設定になっています。
あおき鉄砲の弾も回転しながら飛んでいきますから。あとナツキのバイクとかにも、前輪後輪に真言が書いてあってそれで悪霊を倒すとか。
高山:うちのノートパソコンのハードディスクにも、いつも真言が回っているGIFファイルが入っていますよ(笑)。さらにハードディスクは機械的に回転する構造なので、これでありがたいノートパソコンということになるらしいです(笑)。

――アニメのキャラクターデザインについて話して頂けますか?
松嵜:僕は原作の主役の男の子、弐村剣輔が凄い好きだったんですけど、特戦四課が主役になるということで剣輔が登場しない話になっちゃうから、内心抵抗があったんです。でも原作の世界観をもとに監督と高山さんがどんな話を組み立てるんだろうと、興味津々でもありました。
堀内:僕は一時この企画から離れていた時期があったので、防衛省と聞いたとき「いつの間にこんな話になった?」と思いましたね(笑)。
 アニメ化するにあたって、原作と絵のテイストを変えるという話は以前から出ていたんですが、物語の内容が防衛省の話にどんどん変化していったのに合わせて、アニメのメインキャラクターもその設定から作ろうとしたという感じですね。
高山:四課のキャラクターのとっかかり的なところはどこでしたか?
堀内:最初あおきさん自身がざっとしたイメージを絵に描かれたものでしたね。
あおき:ああ、そうですね。原作にいない完全オリジナルキャラになっちゃうので、いきなりまっさらな状態から打ち合わせを初めてもかんかんがくがくになりますから、一応叩きのラフを1個作ってそこから話を作った感じです。
 まず、剣や呪術的な道具を使ったり、陰陽師みたいに印を結んだりするのではなく、銃などの現代兵器を使うSWATみたいな人たちというコンセプトがあって、そこからちょっと広げてキャラをイメージしていった感じですね。
堀内:最初にナツキトオルのイメージがあったので、そこから各自のキャラクターを、オーダーに乗せて描いた感じですね。
松嵜:ナツキとトオルって、原作のヒーローヒロインである剣輔、神楽以上にヒーローヒロインらしいですね。
堀内:最初マサキが主役になるはずだったんですけど、マサキの兄貴分であるトオルのほうを主役にすると決まったんです。
あおき:当時名前が決まっていなかったんですが、最初マサキが主人公でトオルがその兄貴分というラフを描いたんです。でも打ち合わせのときに、トオルを正統派の主人公にして、マサキはトオルの友達というか同僚という形になったんだね、確か。
高山:キャラクターデザインができたのと、ホン(脚本)の1話が決定稿になるのとどっちが先でしたっけ。
あおき:確かホンをやる前に1回描いてもらって、キャラクターを提示したんじゃなかったんでしたっけ。その間に高山さんとかと話して、最終的に主役がトオルとマサキとで逆転したような。シリーズ構成をやっている途中で、まだシナリオの1話に入っていなかったと思います。
高山:試行錯誤しているうちに、キャラクター性が変わっちゃたんですよね。少し影を負った主人公にしようと。
堀内:熱血キャラを主人公にするか、その熱血を兄貴分にまわして、弟分を主人公にするかという話ですね。(『科学戦隊ガッチャマン』の登場キャラの)コンドルのジョーを主役にするべきかどうするか(笑)。
高山:まあそうですね(笑)。
堀内:他のキャラについては、わりと王道的立ち位置でしたね。
高山:わかりやすいポジションにいてほしかったんです。トオルとナツキのドラマをメインにして立てていくのに、それをサポートしていく上でわかりやすいキャラがいたほうが良いと考えました。ですからクドウとかはわかりやすいキャラですね。
あおき:そうですね。
平松:でも単純になっちゃうと一番つまらないと思ったので、どうしたらこのキャラ達が生きていくか凄く悩みましたね。
堀内:トオルはとりあえず主人公ということだったので、テンプレ通りということになるのかわからないですけど、僕の中にある熱血主人公のひとつのパターンを、あおきさんのラフをベースに起こしてみたというところです。ナツキは、イメージが(『超電磁ロボ コン・バトラーV』の登場キャラの)南原ちずるだったので、ああなりました(笑)。
あおき:打ち合わせの際、「南原ちずるでお願いします」と言いました(笑)。
堀内:だから髪の色は絶対緑だと思っていたんですけど違いましたね(笑)。髪が長いのに、後にバイクに乗るキャラだとわかったので、作画が大変だなと思ったんですけど(笑)。
 そのトオル、マサキ、ナツキから他のキャラのデザインへと広げていった感じですね。四課の連中はあっさりというほどでもないですけど、比較的楽に決まった感じです。
高山キリヤのデザインとか面白いですね、個性あるし。
堀内:あの辺は、自分の中でテンプレに近いイメージがあったんです。といっても人によってテンプレも違うんですけど、スタッフがそれぞれ持っていたイメージがたまたま一致したんでしょうね、きっと。
高山マミのデザインが上がってきたときは「あ、これで決定」と全員言ってましたね(笑)。
堀内:これも、通信担当はポニーテール少女という共通認識がみんなにあったらしくて。四課の連中に関してはわりと悩まなかったです。あおきさんや高山さんとかと意識のずれが少なかったのかもしれないです。キャラをゼロから起こしたのは、わりとプラスに作用したかもしれないですね。
高山:『喰霊』のタイトルを頂きながらも、やっていることがゼロからのアニメオリジナルになるので、後が怖いんですけど(笑)。
堀内:「これでいいんだろうか」という気持ちは非常にあります(笑)。
高山:脚本もゼロからの立ち上げですからね。原作の世界観をもらいながらも、原作のエピソードは一切使わないでスタートしていますから。
堀内:原作から世界観だけもらって、その中でお話を作るという感じだったんですよね。
高山:ただ原作の持っているテーマは踏襲しています。ネタバレになりますので具体的には言いませんが、同じテーマを別のキャラクターで描いていくというシリーズ構成をやりますよ、きっと(笑)。
堀内:オリジナルの話だから先の展開がわからないので、僕もスタッフではなく観客に近い感じで見ています。

――最後に、視聴者の方に向けてのメッセージをお願いします。
あおき:今回、特に第1話はアクションを中心に組んでいて、普通のTVシリーズよりもお金的も時間的もかなりかけたものになっているので、楽しめると思っています。1話に関しては、とりあえずアクションを楽しんでくださいということですね。退魔物の作品だと、どうしても術を唱えるとか印を組むとかいうテイストがよく入ってしまうので、それは敢えて避ける方向にして、ガンアクションとか現代アクションみたいな感じになると良いかなと思って制作しました。
堀内:1話は、カット数が400もあって大変でした。
あおき:絵コンテの作業をやってもやっても終わらなくて、「おかしいなぁ……」と思っていました(笑)。
高山:最初、1話Aパートのコンテをもらったとき、「1話の絵コンテが来た……えっ、これで半分?」と思いました(笑)。Aパートだけで普通のアニメの1話分くらいありましたね。
松嵜:衝撃ですよね(笑)。「これでも半分か?」みたいな(笑)。
平松:1話Aパートのコンテをもらったときには「今後どれだけのことになるんだろう」と思いました(笑)。でもコンテの中身は凄く面白かったので、「この勢いのまま最後までやりきれたら凄いものになるな」と思ったんです。だからやりがいがあると思っていたんですが、Bパートのコンテが来て改めて「うわー! 大変だ!」と心が半分折れてしまいました。(笑)。
松嵜:スタッフではなく、純粋に見ている側に回りたいですね(笑)。
高山:作る側になると大変ですよね。
あおき:あと今回の作品の美術のコンセプトとして、「実際にある場所を描こう」というのがあります。戦うときでも「適当な野原や適当な道が舞台」とかいうんじゃなくて、「実際にある空間や施設」を使いましょうという話になったんです。池袋の高速道路とか、とある公共施設とか実際にある空間を劇中で使うことにして、取材にも行きましたので、それらが作品のリアリティに加味されているかなと思います。


本作品はフィクションであり、登場する人物、団体名等は実在するものではありません。(C)2008瀬川はじめ/[喰霊-零-]製作委員会